サン・ジョバンニのトルテッラータと手作りノチーノ

サン・ジョバンニのトルテッラータと手作りノチーノ

カトリックの国イタリアでは、1年365日聖人が割り当てられています。6月24日は、聖ジョバンニ(サン・ジョバンニ)。太陽の力が1年で一番強い日として、パルマでは6月23日の夜から深夜にかけてトルテッリを食べて、夏の訪れを祝います。トルテッリはパルマの代表的な伝統料理で、卵と小麦粉を練って作ったパスタに詰め物が入ったラビオリです。中の詰め物は、エルベッタ(ブタン草)とリコッタチーズ、カボチャ、ポテトの3種類がありますが、この日はエルベッタとリコッタチーズの入った「トルテッリ・ディ・エルベッタ」をいただきます。

野外で食べるトルテッリ

野外で食べるトルテッリ

サン・ジョバンニの夜は「魔女の夜」とも呼ばれ、クルミの木の下で魔女が踊るのだそうです。「このトルテッリを食べて、夜露を浴びると幸せになれる」と言われ、今でも6月23日の夜は、パルマとパルマ近郊の多くの町では、屋外にテーブルを出して「トルテッラータ」というトルテッリを食べるお祭りが行われます。この夜、ほとんどのパルマ人はトルテッリを食べます。

サン・ジョバンニの夜になると薬草は効力を上げ、ブドウの実は最初の汁を作るとされるなど、さまざまな言い伝えがあります。「露を浴びたパセリを摘んでゆでると、妬みや邪視から身を守ることができる」とか、「顔に露で濡れたタンポポの葉を擦り付けると、不運を免れる」とか、昔の農民たちはそれを信じて行なっていたと言われます。また、「シーツや洋服を草の上に広げ、夜露をつけると布が真っ白になる」と、この夜主婦たちは、布を草原の草の上に広げていたそうです。
農民たちにとって、サン・ジョバンニは浄化の日。収穫した後、この晩の露で土地を浄化し、新しい種を撒く準備をしていたのでした。そして、その夜の蛍の飛びかたでその年の天候の動向を予想したとも言われています。

サン・ジョバンニの夜露を浴びたクルミ

サン・ジョバンニの夜露を浴びたクルミ

サン・ジョバンニの夜露を浴びたクルミは、不思議な力を持つと言われています。伝説では、「女性が裸足で木に登り、手で傷のないクルミを穫らなければならない」そう。この夜収穫したクルミの実で作られるリキュールは、イタリアでは一般的に作られているもの。私は、クルミの実がこんなに緑なのを、イタリアに来て初めて知りました。

うちで義母が作っていたレシピは、25個の実を半分に切り、アルコール、チョウジ、シナモン、砂糖を瓶に入れ、日影に置きます。毎日瓶を揺すり、砂糖を溶かします。

クルミのリキュール「ノチーノ」

クルミのリキュール「ノチーノ」

10月31日に瓶からリキュールをガーゼでこして、光が通らない瓶に入れて保存します。それから最低1年熟成させて、できあがりです。とろりと熟成された1991年産のクルミのリキュール「ノチーノ」は、食後酒にしても、デザートのアイスクリームにかけてもよし。手作りのノチーノは芳香な香りで、消化剤の役目をします。

6月にイタリアに旅行を考えていらっしゃる方は、ぜひパルマの「トルテッラータ」で
夜露を浴び、幸せをつかんでください。

西村 明美

初めて食べたプロシュット・ディ・パルマとパルミジャーノ・レッジャーノチーズに魅される。2003年には好きだったワインを勉強し、AISイタリアソムリエ協会のソムリエの資格を取る。その後、サルメリア研修をし、パルマの食を勉強。各種コーディネート、通訳、翻訳など活動中。

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