美しいプロセッコの里、ユネスコ世界遺産に登録へ

美しいプロセッコの里、ユネスコ世界遺産に登録へ

ヴェネトを代表するスプマンテであるプロセッコの生産地域の中心、コネリアーノからヴァルドッビアーデネにかかる丘陵地帯が、2019年7月にユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録された。景観の美しさだけではなく、土地の歴史的背景にも、世界的に認められた要因がある。

ユネスコの世界遺産に登録された、コネリアーノ・ヴァルドッビアーデネという地域

ユネスコの世界遺産に登録された、コネリアーノ・ヴァルドッビアーデネという地域

ヴェネト州はイタリア随一のワイン生産高を誇る州だが、なかでも近年、非常に生産量及び売上を伸ばしているのが発泡酒であるプロセッコだ。特にイタリア国外への販売を強化していることもあり、プロセッコと名乗ることができる生産地域を、ヴェネト州内だけではなく、お隣のフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州にまで大幅に広げてもいるほど。

そのプロセッコの最も由緒正しき、そして歴史的、土壌的にも価値のある品質が保証されるコネリアーノ・ヴァルドッビアーデネDOCGの生産地、コネリアーノからヴァルドッビアーデネにかけての地域が今年7月7日にイタリアでは55番目にあたるユネスコの世界遺産に登録された。

登録の正式名称は、「プロセッコの丘陵地、コネリアーノ・ヴェネトとヴァルドッビアーデネ(Colline del prosecco di Conegliano Veneto e Valdobbiadene)」という。
東西30kmに及ぶ丘陵地内は何層もの丘が連なり、それらが整然とした段々畑のように成ったブドウ畑で覆われている。それらはまるで”モザイクのよう”に美しい景観、とも称されてもいる。

アペリティーヴォ(食前酒)に、食事のお供に……同地域を語るには至要たるプロセッコとは?

アペリティーヴォ(食前酒)に、食事のお供に……同地域を語るには至要たるプロセッコとは?

プロセッコは、グレーラ(glera)という品種のぶどうを主にしたスプマンテ(発泡酒)で、ペラーラ(perera)、ビアンケッタ(bianchetta)、ヴェルディーゾ(verdiso)などの他白品種を数パーセント加えることも許されている。

見た目にもフレッシュ感を思わせるグリーンがかった淡い麦わら色がベース。そして、ぶどう品種本来の持つキャラクター……ナシや青リンゴなどの淡いフレッシュなフルーツ、白い野草を思わせるデリケートな香りを特徴とする。口に含むと、繊細な泡とともに、先に感じたフルーツの味わいが残り、その余韻を楽む。これが、プロセッコのおいしさの魅力。フレッシュな爽やかさがこのワインを語る上では欠かせない要素な故、この土地にいると、食前酒としてはほぼ100%に近い確率でプロセッコを親しむ習慣がある。もちろん食中酒としても、日常的に用いられているのは言うまでもない。

そして、その商業的意義も高く、生産量としては年間約47億本、そのうちの約2/3量がイタリア国外へ出荷されている。ワインのなかでもスプマンテというカテゴリーにおいては、シャンパンを抜いて世界第1位の輸出量に成長しているのも注目すべきところ。

ワインの格付けであるDOC, DOCGを獲得したのは2009年。それをきっかけに品質にもお墨付きを得て、質実を伴うヴェネトの、いやイタリアワイン業界を支える銘柄に成長している。

美しい景観とともに、イタリアのワイン醸造の歴史にも重要な場所

美しい景観とともに、イタリアのワイン醸造の歴史にも重要な場所

コネリアーノは、もともとイタリア初の醸造学校が発足した場所でもあり、ブドウ栽培、そしてワイン醸造自体は、140年の歴史があるとされている。そして近年、19世紀半ばには、現在もある某プロセッコメーカーの創業者により、イタリアで初めてシャンパンの技術の導入が試みられた。現在のプロセッコの製法は、スプマンテといえども、シャンパンのそれとは異なるものだが、イタリアを代表するスプマンテ製造の地としては、非常に意義深い場所ということがわかる。

このように、世界遺産の認定を受けた起因には、もともとの自然環境に加え、土地の人々のブドウ栽培とワイン製造への情熱によるマン・パワーが起因している。

さらにもうひとつ、同地区内にて「カルティッツェ(Cartizze)」と呼ばれる景観が特に美しい一帯がある。ここはプロセッコの銘柄として高く評価されるブドウの畑が連なる約107haほどの小地区。そこに約140軒ものブドウ農家がひしめくように栽培を行っている。なぜなら、ここに畑を持つことが、ひとつの価値と認められるから。まるで小さな渓谷のような斜面の連なる一帯は、特異な土壌の性質と、その地形に影響される風気により特に個性的で良質なブドウができるとされる。
視覚的にも非常に美しく、一見の価値のある場所。同地域を訪れる際には、必ずや立ち止まっていただきたいポイントだ。

ヴェネト州は、2026年のミラノ・コルティーナ冬季オリンピック誘致獲得に続き、このユネスコ世界遺産認定のビッグニュースと盛り上がりを見せている。

Colline del Prosecco di Conegliano e Valdobbiadene Patrimonio UNESCO
(ユネスコ世界遺産コネリアーノ・ヴァルドッビアーデネ丘陵地帯)
アクセスヴェネツィアより列車でトレヴィーゾまで約30分
トレヴィーゾよりバスでヴァルドッビアーデネまで約1時間15分
HPhttps://collineconeglianovaldobbiadene.it
Strada del Prosecco e Vini dei Colli Conegliano Valdobbiadene
(コネリアーノ・ヴァルドッビアーデネ産プロセッコ及びワイン街道)
アクセスヴェネツィアより列車でコネリアーノまで約45分
※ブドウ畑などの連なる丘陵地帯へのアクセスは、車が必要。
HPhttps://www.coneglianovaldobbiadene.it

白浜 亜紀

ヴェネト州パドヴァ在住。通訳、翻訳、地元マンマの料理レッスン及び生産者訪問コーディネイト、そして野菜を中心とする農産品の輸出業などの活動を行う。 農産物やワイン、各種食材の生産者から料理店、家庭のマンマに至るまで、土地の人々に密着した生きたヴェネトをとことんご案内しますよ。ONAFチーズ鑑定士、AISソムリエ協会。

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