美しい水辺と中世の小さな村に残る歴史をたどる

美しい水辺と中世の小さな村に残る歴史をたどる
カペストラーノ© Stefano Valeri | Dreamstime.com
今回ご紹介するティリーノ川流域は、SNSで見てそのエメラルドグリーンに輝く水辺に目を奪われ、地名を頼りに友人たちと訪れた場所。グランサッソ・エ・モンティ・デッラ・ラーガ国立公園内に位置し、豊かな自然に囲まれた水辺が魅力です。また周辺には合わせて巡りたい古代から中世にかけての歴史を感じる建築や遺跡も点在しています。
イタリアで最も美しい川のひとつ

イタリアで最も美しい川のひとつ

アブルッツォで最も長いアテルノ−ペスカーラ川の支流であるティリーノ川は、国立公園内の平原や林の中を縫う様に流れており、イタリアでも最も透明度の高い川のひとつとされています。まずはアドリア海に面するアブルッツォ最大都市ペスカーラから車で約40分、川と同じ名前が付いたブッシ・スル・ティリーノ(ペスカーラ県)を目指します。人口2,500人弱の小さな村で、川沿いの木陰などでのんびり過ごす人たちの姿も見えます。そこから更に車で10分程北上したサン・マルティーノエリア(ラクイラ県カペストラーノ)は、ちょうど川幅が少し広くなり流れが緩やかになる場所で、且つ水底に揺れる水藻も美しい水質のよい場所。ピクニックをしながら水浴びを楽しむ人たちで賑わっています。また、地元のツアー会社などが企画するカヌー体験などに参加し水上からの景色を楽しむこともできます。

アブルッツォで最も有名な戦士

アブルッツォで最も有名な戦士

ティリーノ川の近郊には、歴史のある小さな村も点在しています。カペストラーノもそのひとつ。椀をひっくり返した様な山の頂きに聳えるピッコローミニ城を中心に住居が広がる中世の山岳都市です。一般開放されている城内からはティリーノ渓谷はじめ、360度のパノラマが楽しめます。そして、この村を語る上で欠かせないのが、写真の「カペストラーノの戦士」像の存在です。アブルッツォで「最も古い市民」として親しまれているこの像は、1934年、畑仕事をしていた農民によって偶然発見されました。紀元前6世紀頃のものとされていますが、2m以上ある大きな像は誰がどのような目的で作ったものなのか、まだまだ多くの謎に包まれています。
※ 実物は、キエティ市にある国立考古学博物館で間近に見ることが出来ます。
WEB:http://www.archeoabruzzo.beniculturali.it/manda1.html

ひっそりと佇む教会や教会跡

ひっそりと佇む教会や教会跡

サン・マルティーノエリアから徒歩で約30分、ちょっとしたウォーキングを兼ねて足を伸ばしたいのが聖ピエトロ・オラトリウム修道院(カペストラーノ)です。ティリーノ川のせせらぎが聞こえる林の中にひっそりと佇む小さな修道院は12世紀に完成したロマネスク建築。シンプルな建物の内部には当時描かれたキリストや黙示録に登場する24人の長老の貴重なフレスコ画が色鮮やかに残っています。さらに、ファサードには魔法陣と考えられる回文の石碑などが残りミステリアスな雰囲気があります。また、ブッシ・スル・ティリーノの郊外には建物のファサードと後陣だけが古跡として残る中世の教会、聖マリア・カルティニャーノがあり、平原にぽつんと佇む様は時間に取り残された様な魅力があります。美しい川の流れとともに歴史の流れも感じられるとっておきスポットはいかがですか?

聖マリア・カルティニャーノ教会© Stefano Valeri | Dreamstime.com

保坂 優子

都市計画コンサルタント。アブルッツォ州での留学経験を経て、2002年から大阪とアブルッツォを行き来する生活を続けている。2009年のラクイラ地震を機に州の紹介サイトを立ち上げる。2016年4月からフリーペーパー「アブルッツォ通信」共同発行者。アブルッツォに関する講演やイベントの企画、コラムの寄稿などにも携わる。

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