ユネスコ世界遺産、ローマ人にも影響を与えたエトルリア人の遺跡を訪ねる

ユネスコ世界遺産、ローマ人にも影響を与えたエトルリア人の遺跡を訪ねる
タルクイーニアの古代寺院から発見された馬の彫像
イタリア南部から中部を旅行していると、「エトルスキ」という言葉をよく耳にします。これは、古代エトルリア人との関連を意味しているのです。ローマ人よりも早くイタリア半島で文明を築いたエトルリア人たちに関しては、まだ謎が多いのが実情。今回はユネスコ世界遺産にも認定された、エトルリアのネクローポリを訪れてみました。
ローマ人に大きな影響を与えたエトルリアの技術力

ローマ人に大きな影響を与えたエトルリアの技術力

ネクロ―ポリに残る壁画のひとつ

一口に「エトルリア人」といっても、その歴史は紀元前8~紀元前1世紀ごろまで続く長いものです。日本ではあまり知名度が高くないエトルリア文明ですが、理由は彼らの技術を継承したローマ人が、地中海を網羅した大帝国を築いたことと無縁ではないかもしれません。 しかし、現在残るイタリアの中部の町の多くが、エトルリア人の築いた都市の上に建っています。エトルリア人たちの住居や墳墓が、現在はワイン貯蔵庫や物置として使用されているところも少なくないのです。

作家塩野七生女史は、大作『ローマ人の物語の中』でこう述べています。 「知力ではギリシャ人に劣り、体力ではケルトやゲルマン人に劣り、技術力ではエトルリア人に劣り、経済力ではカルタゴ人に劣るローマ人」。

つまり、エトルリアはローマ人をしのぐ技術力を有していたというわけです。実際その洗練されたテクノロジーは、残された遺跡や遺物からも読み取ることができます。

2004年にユネスコ世界遺産となったエトルリアの遺跡と美術館

2004年にユネスコ世界遺産となったエトルリアの遺跡と美術館

モンテロッツィの遺跡群
ラツィオ州北部にあるチェルヴェテリとタルクイーニアの古墳がユネスコの世界遺産となったのは、2004年のこと。イタリア人にとっては、イタリア半島の文化の源であったという認識があるエトルリアの世界遺産認定は、さもありなんというという反応でした。

ローマから北に100キロほどのところにあるタルクイーニア、ここにあるネクロ―ポリは「モンテロッツィ」という正式名があります。中心地からは少し離れた場所にありますが、ネクロ―ポリと市内のタルクイーニア国立考古学博物館は共通券で6ユーロ。その価値を考えると、非常にお得です。ネクロ―ポリ内は広大で、人で込み合うということはまずありません。敷地内には、21の墳墓が存在し、それぞれ装飾に合わせた名前が後世の人によってつけられています。

小さなあずまやのような建物に入ると、地下に降りていく階段があり、その先に壁画が残る墳墓を見ることができます。写真で見ると平面的な壁画ですが、実際目にすると色鮮やかで非常に生き生きとしているのが特徴です。楽器を奏でたり踊ったり、寝そべって宴に興じていたりと、繁栄を謳歌した当時の人々の幸福な生活が目に見えるようです。

15世紀後半に建設されたヴィテレスキ宮殿が考古学博物館になっています。
広大なネクローポリの墳墓見学に疲れたら、気分転換も兼ねて町の中心に移動してみましょう。ただし、軽食を探すのであれば12時までには移動することをお勧めします。

ネクロ―ポリと共通券になっている考古学博物館は、建物自体が芸術品級。15世紀後期のルネサンス様式の建物は、ラツィオ州でも最も重要な宮殿のひとつにあげられています。博物館といっても規模はそれほど大きくなく、さらに宮殿内の建築を楽しみながら気軽に入ることができます。圧巻はなんといっても、タルクイーニアの古代寺院で飾っていたといわれる馬の彫像(始めに紹介している写真)。暗色の壁を背景に、真っ白に浮かび上がる2頭の馬のリアリティには古代へのロマンを刺激されます。

ローマへの帰路、チェルヴェテリの墳墓群を散策する

ローマへの帰路、チェルヴェテリの墳墓群を散策する

チェルヴェテリの古墳群
タルクイーニアと同時に世界遺産に認定されたチェルヴェテリには、タルクイーニアからローマへの帰路、高速を下りて立ち寄ることができます。
広大な土地に広がるネクロ―ポリですので、古代への思いを馳せながら散策可能。さらにこちらも車で5分ほどのところにあるチェリテ国立博物館とセットでチケット購入が可能ですので、一緒にご覧になることをお勧めします。中世のどっしりとした要塞が、考古学博物館になっていて迫力満点です。
チェルヴェテリのネクロ―ポリは、タルクイーニアのそれとは異なり古墳内に壁画がありません。しかし、さまざまな古墳の内部まで足を踏み入れることができるため、当時の人々が死後も親しい人とともにいたいと願ったことが、その構造から察することができます。

トスカーナ州にほど近いラツィオ州北部には、そのほかにもトゥスカーニアやヴルチといった美しい町や古代の遺跡がたくさん残っています。エトルリア語はまだ解明されておらず、このミステリアス感がまたイタリア人には大人気! ラツィオ州北部ヴィテルボ近郊の町々の美しさ、ぜひご堪能ください!
タルクイーニア・モンテロッツィ遺跡(Necropoli di Monterozzi, Tarquinia)
住所Strada provinciale Monterozzi Marina 01016 Tarquinia
開館時間夏期8:30~19:30/冬期8:30~日没1時間前
火曜日~日曜日(月曜日、12月25日、1月1日休館)
電話+39 0766-856308
HPhttps://necropoliditarquinia.it/
タルクイーニア国立考古学博物館(Museo archeologico nazionale di Tarquinia)
住所Piazza Cavour 2 01016 Tarquinia (VT)
開館時間8:30~19:30(入場券販売は18:30まで)
月曜日、12月25日、1月1日休館
電話+39 0766 850080
HPhttp://archeologialazio.beniculturali.it/it/287/tarquinia
チェルヴェテリ・バンディタッチャ遺跡(Necropoli di Banditaccia, Cerveteri)
住所Piazzale Mario Moretti-00053 Cerveteri
開館時間8:30~日没1時間前
月曜日、12月25日、1月1日休館
電話+39 06 9940001
HPhttps://www.comune.cerveteri.rm.it/turismo-e-cultura/le-necropoli/la-banditaccia
チェリテ国立博物館(Museo Nazionale Cerite)
住所Piazza S. Maria 1, Cerveteri
開館時間8:30~18:30 月曜日、12月25日、1月1日休館
電話+39 06 9941354
HPhttps://www.beniculturali.it/mibac/opencms/MiBAC/sito-MiBAC/Luogo/MibacUnif/Luoghi-della-Cultura/visualizza_asset.html

井澤 佐知子

イタリア生活十数年、ローマ近郊の田舎での生活ほぼ7年。 坂道を上るトレッキングシューズとリュックサックが必須の毎日。ローマの南、風光明媚なカステッリ・ロマーニを拠点に、家族とともに風のようにイタリアのあちこちを物見遊山中。 趣味は書籍の大散財。イタリアの美術、食文化、歴史をこよなく愛する。

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