代々受け継がれてきた芸術的な小麦文化 -その2-

代々受け継がれてきた芸術的な小麦文化 -その2-
多種多様なパスタたち
サルデーニャの小麦文化で代表的なもののひとつ、多種多様な手打ちパスタ。ほとんどがショートパスタで特定の村でしか作られていないものも多く見られます。サルデーニャ料理はシンプルなレシピが多いので、せめていろんな形のパスタで変化をつけよう、とパスタの種類が増えたそうです。今回はその中でも3つの地域の代表的なパスタをご紹介します。
島の南~全域で作られるフレーグラとマロレドゥスは島を代表するパスタ

島の南~全域で作られるフレーグラとマロレドゥスは島を代表するパスタ

フレーグラを作る過程とフレーグラ、カンピダネーゼ(カンピダーナ地域のソース、生ソーセージ入りのトマトソース)
あられのようなちっちゃい粒々パスタ。料理された一皿を見るとリゾットのようにも見えます。作り方も独特で底の平らなテラコッタのボウルに粗挽きのセモリナ粉と薄めの塩水(地域によっては水の代わりに卵黄とサフラン入りの塩水)を少しずつ入れて手の平で優しくマッサージ。何度か粉と水を足し、途中からセモリナ粉は細挽きのものに変えて時間をかけて好みの大きさに育てます。それを平らな器に移し一日ほど自然乾燥し、軽くオーブンに入れて完全に乾燥させます。
マロレドゥスを作る過程とトマトソースのマロレドゥス
マロレドゥスはフレーグラよりよく知られているサルデーニャのパスタで別名ニョケッティ・サルディ。セモリナ粉を水でこねた生地を細長く伸ばして小さくカットし、カゴや小さな洗濯板のような専用器具の上を転がしながら筋をつけて成形していきます。溝の部分にソースが絡みやすいので、トマトソースや重めのソースなどとあわせることが多いです。
”神の糸”を意味するフィリンデゥは内陸部ヌオーロの伝統パスタ

”神の糸”を意味するフィリンデゥは内陸部ヌオーロの伝統パスタ

フィリンデゥを作る過程
今ではヌオーロでも作れる女性は少なくなってしまったパスタ。他のパスタ同様、セモリナ粉と水でこねた生地を小さく取って塩水を足しながらさらにこね、手のひらに生地を貼付けるようにして1本が2本に2本が4本に・・・・・・と8回ほど糸のように細くのばし、アスフォデロ(ユリ科の植物)で編まれた平らなカゴに貼付けます。カゴ全体に貼り付けたら方向を変えてその上に再び貼り付け、それを3回繰り返した後、日に当てるなどして完全に乾燥させます。見た目は細~い線が固まった網目状の板のようで、薄いパンのようにも見えます。伝統的な食べ方は羊のブロードにパリパリッと一口大にカットしたフィリンデゥを入れ、サッと火が通ったらそこへ酸味のある羊のフレッシュチーズをたっぷり入れて熱々をふ~ふ~言いながら食べる。これぞ、羊飼いの冬のご馳走です。
島の東側オリアストラの伝統パスタ、クルルジョネス

島の東側オリアストラの伝統パスタ、クルルジョネス

クルルジョネスを作る過程とクルルジョネスのオリーヴオイルとペコリーノチーズかけ
先に紹介したフレーグラとマロレドゥスは作り立てのフレッシュを食べることもありますが、一般的にはフィリンデゥ含め日持ちがするように乾燥させて食べます。その他、詰め物をした生パスタもよく食べられます。地域によって名前や形、中に詰めるものが違っていたりと様々ですが、要はラビオリ。その代表的なのがジャガイモと羊のしょっぱいフレッシュチーズにミントでアクセントを効かせた詰め物を生地で包んだクルルジョネス。麦の穂のように生地を綴じて先細りのイチジク型に整えるのが特徴ですが、もちろん人により綴じ方の違いや、コロンとしたもの、細長いものもといった形状の違いはあります。トマトソースで食べるのが一般的ですが、オリーヴオイルと削ったペコリーノチーズをかけて食べる方が中身の味がよく分かるのでおすすめです。いわゆるサルデーニャの水餃子です(笑)
フィリンデゥはヌオーロ周辺、その他のパスタは島全域のレストランと、最近は特定の村限定パスタも島全域で食べられるようになってきました。が、機会があればぜひそれぞれのパスタが生まれた地域に行って味わってみて下さいね。

藤田 智子

サルデーニャに恋をして2003年よりサルデーニャ島在住。家庭料理や食材の探求を 続ける傍ら"食"をテーマに現地の旅行、視察、料理教室をコーディネート。 日本でも料理教室を開催するなど、日本とサルデーニャの食文化交流に活躍中。 著書に"家庭で作れるサルデーニャ料理"(河出書房新社)

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