フリウリに咲く冬のバラ「ローザ・ディ・ゴリツィア」

フリウリに咲く冬のバラ「ローザ・ディ・ゴリツィア」

長くて厳しい北部イタリアの冬。とはいえ、寒いからこそ、の自然の恵みにも巡り会えるのです。
ここは、フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州のいわゆる、ヴェネツィア・ジュリア地方にあたるゴリツィア。スロヴェニアに直接隣接する土地ゆえ、イタリアでありながら、それとは違う独特な雰囲気、そして文化があります。
この地にて、非常に希少な野菜があることをご存知でしょうか。少数の農家のみにて生産される冬の野菜で、少量生産なことから、市場に出回ることも稀なラディッキオの一種「ローザ・ディ・ゴリツィア」です。

「ローザ・ディ・ゴリツィア」とは一体なに?

「ローザ・ディ・ゴリツィア」とは一体なに?

ラディッキオとは、チコリの栽培種で、キク科の野菜。独特のほろ苦さと甘み、少々肉厚な葉からくる食感が特徴。そして、なによりもその個性的な見た目が他の野菜とは一線を画すものです。
ラディッキオの生産自体は、イタリア国内ではヴェネト州が最も盛んですが、フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州においても一部生産が行われており、そのうちの一種である、ゴリツィア産はまた特殊なものなのです。そして「ローザ」とはイタリア語で「バラ」を意味します。バラに似ていることから、「ローザ・ディ・ゴリツィア=ゴリツィア産のバラ」という名前が付けられています。
本物のバラのように深い真紅色で、バラの蕾や花のような形状をしています。大きさも大小ありますが、特に希少価値として扱われるのは、掌にのせられるほどの小さな一個体のもの。イタリア国内の著名なレストラン等にて、このバラのような野菜を一個使うことにより、料理人の表現する一皿がさらにオリジナル性を増す手段として使われることもあります。
生産はごく少数の農家によるものであり、またその生産工程も手間のかかることから、現在では、その生産量は非常に少なくなっている野菜です。

「ローザ・ディ・ゴリツィア」はどのように生産が行われるのでしょう。

「ローザ・ディ・ゴリツィア」はどのように生産が行われるのでしょう。

ゴロゴロの石ころだらけの土中にしっかりと根を生やして育ちます。(写真は11月の収穫が始まるハシリの季節)
生産地域は決して栄養豊富な土壌を持つわけではありません。この土地は、イゾンツォ川という、スロヴェニアのアルプス山脈を水源とした川の流れにより形成された土壌をベースとしており、見た目には、石ころがゴロゴロとした砂岩地で、石灰質な要素の強い土地です。 ローザ・ディ・ゴリツィアは、ここで夏前に種まきが行われます。畑には化学的な肥料や除草剤などは一切与えられないため、夏の間は雑草が生え放題となりますので、夏期に畑に行ってもそれが畑とは認識がつかないほどです。 この雑草の下、砂利だらけの土地に真っ直ぐに根を伸ばし、たくましく生育していきます。真夏の灼熱の太陽の光を直接受けることなく、自身の持つ生命力を蓄えるのだといいます。 そして、夏の終わりを感じる時期になると、この雑草が一斉に刈り取られ、ようやく地表面に顔を出したローザ・ディ・ゴリツァは、この時期以降、強すぎない適度な太陽の光を浴びて本格的な生育をスタートさせます。

寒い冬の訪れが近づき、気温が下がり始めるころ、外葉から内側へと葉を巻き込んできます。さらに気温が低くなるにつれ、緑色だった葉は、本来持ち合わせている赤色の要素を発揮し始め、深く色鮮やかに変化してきます。

形状がしっかりしてきた頃合いを見計らい、畑からの収穫が行われます。その後、光を遮った暗所にて、おがくずと馬糞、もみを混ぜたものを入れたカセットに根をもぐらせるようにし、静置させます。ここで完全に光をシャットダウンすることで、特徴的な真紅色をより深く、そして株の中心部により栄養を与えていくのです。

剛健なのに美しく可憐な野菜。野菜とはいえ、見た目は本当に野菜なのか?と疑いたくもなる、不思議な野菜です。

ローザ・ディ・ゴリツィアを実際に味わう!

ローザ・ディ・ゴリツィアを実際に味わう!

前述のように、最も商品価値が高いバラの花一個体にてこの野菜を購入する機会は、残念ながらそう簡単ではないかもしれません。ただし、少し大きめなものとなると、市場に出回ることもあります。多くは、生食用としてサラダにするのが一般的でしょう。おいしいオリーヴオイルと塩、ビネガーなどで調味してシンプルに味わってみてください。 また、生産者のなかには、この野菜を二次加工し、瓶詰めなどにして販売しています。それらは、オイル漬けや、ビネガーを効かせたマリネなど。オレンジやグレープフルーツなどの柑橘類の絞り汁や、近年健康的にも注目されているザクロの絞り汁などでマリネした、健康志向で今どきな商品化も進んでいます。 生産者などが経営する、土地独特の商品が購入可能な店舗を幾つかご紹介しますので、機会あればぜひお立ち寄りください。
La Bottega della Rosa(ラ・ボッテガ・デッラ・ローザ)
住所Via Boccaccio, 9 34170 Gorizia (GO)
営業時間火曜〜金曜 8:30~13:00 15:30-19:00 / 土曜 8:30~13:00 15:00~18:30
定休日日、月曜日
電話+39.340.7221400
AgriBistrot LUCIA(アグリビストロ・ルチア)
住所Via Dante, 10 33057 Palmanova (UD)
営業時間金曜~日曜10:00~14:00 18:00~22:00 / 月曜 10:00~14:00
定休日火~木曜日
電話+39.339.350.6679
Azienda Agricola Fratelli Movio(アズィエンダ・アグリーコラ・フラテッリ・モーヴィオ)
住所Via Martini della Libertà, 36 34073 Grado (GO)
営業時間8:30~13:00
定休日日曜日
電話+39.340.627.0794

白浜 亜紀

ヴェネト州パドヴァ在住。通訳、翻訳、地元マンマの料理レッスン及び生産者訪問コーディネイト、そして野菜を中心とする農産品の輸出業などの活動を行う。 農産物やワイン、各種食材の生産者から料理店、家庭のマンマに至るまで、土地の人々に密着した生きたヴェネトをとことんご案内しますよ。ONAFチーズ鑑定士、AISソムリエ協会。

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