マルケの小さな村のとっておき名物、稀有なスプマンテ、ヴェルナッチャ・ディ・セッラペトローナとダ・ロレの“悪魔のカルボナーラ”!

マルケの小さな村のとっておき名物、稀有なスプマンテ、ヴェルナッチャ・ディ・セッラペトローナとダ・ロレの“悪魔のカルボナーラ”!

野外円形劇場で有名なマルケ州のマチェラータ県のちょうど中心にある人口千人に満たない小さな小さな村、セッラペトローナ。カッカモ湖を見下ろす小高い丘からなだらかな景色を楽しみながら車を走らせると視界に現れてくる美しいこの村では、世界的にも稀有なスプマンテが作られています。”セッラ”という言葉は中世から使われていた言葉で”山間にある城壁を巡らせた谷“をここでは意味しており、”ペトローナ“はピエトラ(岩)を指していることから、山間部の谷に生まれた城壁で囲まれた村であったことが分かります。この地域で中世から栽培していたと言われるのは、ヴェルナッチャ・ネーラと言われる土着品種のブドウ。野性味のある黒い真珠のような果実から、どんなスプマンテが生まれるのか、そして、この村で出会える極上の”悪魔のカルボナーラ“をご紹介いたしましょう!

世界でも1つだけ?! 3段階発酵のDOCGスプマンテ

世界でも1つだけ?! 3段階発酵のDOCGスプマンテ

ここセッラ・ペトローナで生産されているスプマンテ、ヴェルナッチャ・ディ・セッラペトローナは、世界でおそらく唯一といわれている3段階発酵。マルケで5つあるDOCG(保護原産地呼称ワイン)の1つですがその歴史は古く、この地域の1875年のブドウ品種学の書類にそのおいしさをうたう文章が登場していたと言います。何がどう3段階発酵なのかはこちら!

【1】秋に収穫されたブドウの一部はそのまま伝統的なワイン醸造の工程に、それ以外の選ばれた出来の良い房はアパッシメントと呼ばれる風通しのいいスペースに干され、糖度を上げるために水分を飛ばす工程を経てからモストに。

【2】アパッシメントを経て作られたモストは1月中旬に、通常の醸造を経た赤ワインと4割+6割の割合でブレンドされ、さらに2カ月ほど醸造されます。糖分の高いモストを赤ワインに加えることで緩やかな2段階目の醸造が始まる形となります。

【3】ここからスプマンテにするために糖分と酵母が加えられ、シャーマット製法と呼ばれる3段階目の発酵を経て、収穫翌年の6月にスプマンテが完成、6月30日から晴れて市場に出回ることが出来ます。

このようなとても手間のかかる工程を経て完成されるとても貴重なスプマンテ、わずかな生産量からもマルケの黒い真珠と呼ばれるのも頷けます。

ブドウのアーチ“アパッシメント”を目と香りで楽しむ喜び

ブドウのアーチ“アパッシメント”を目と香りで楽しむ喜び

“フルーツや花の香りが特徴的”と言われるヴェルナッチャ種、その香りや姿を真近で存分に楽しめる、ワイン好きにはたまらないイベントがあります。アパッシメントの様子を一般にも公開するイベント、“アパッシメント・アぺルト”。毎年11月の第2、第3日曜日に行われるこのイベントは、吊るされたブドウのアーチを堪能しながら、色々なヴェルナッチャのスプマンテを試飲できるとっておきの2日間。セッラペトローナで現在ヴェルナッチャ・ネーラのスプマンテを作っているのは4社のみ。市街地からはバスが出るので、予定を組んでいくつかの生産者を回ることも出来ます。ワイナリーでは試飲チケットを購入し、好きなスプマンテを選んで飲めるのもとても便利。乾燥室に吊るされたブドウをゆっくりと眺められるのはこのイベントだけ。ブドウのアーチの中で発酵の神秘に思いを馳せる時間は、唯一無二です。

リストランテ“ダ・ロレ”で名物カルボナーラをほおばり、完璧な1日に!

リストランテ“ダ・ロレ”で名物カルボナーラをほおばり、完璧な1日に!

そしてここセッラペトローナにはもう1つの名物が。『イタリア好き』本誌Vol.8マルケ特集でも紹介され、日本でもイベントに参加した”悪魔のカルボナーラ“で有名なリストランテ”ダ・ロレ“。70年代の面影を残す、イタリアの古き良き地元民に愛されるこのリストランテで、ヴェルナッチャを飲みながらほおばるカルボナーラは最高としか言いようがありません。フィアミンガと呼ばれる大きな楕円形のお皿でどんどん運ばれてくるカルボナーラ、湯気を立てながら手際よくお皿にどんどんパスタが盛られていく様子を眺めるのも、このお店の醍醐味です。パスタ好きのイタリア人が、力強くパスタをほおばる様子を眺めていると、うれしさで立ち去るのが難しくなってしまうような、懐かしさいっぱいの”ダ・ロレ“。ワイナリー見学と合わせて立ち寄れば、マルケの良さを堪能できる完璧な1日になりますよ。

マルケ州の首都アンコーナからセッラペトローナへの行き方
交通機関鉄道でアンコーナ(Ancona)駅からウルビザーリア スフォルツァコスタ(Urbisaglia Sforzacosta)駅下車。 Contram mobilita バスにてスフォルツァコスタ(Sforzacosta)駅からセッラペトローナ(Serrapetrona)で下車。
HPhttps://www.contrammobilita.it/
Albergo Ristorante da Lore'(リストランテ“ダ・ロレ”)
住所Via Nazionale, 34, 62020 Serrapetrona MC
電話+39 0733 905132

林 由紀子

1999年からイタリア在住、ファエンツア国立陶芸美術学校を経てアーティストBertozzi&Casoniのもとで修行、彼らとの仕事を通してイタリアの食とアートの繋がりを強く認識。移り住んだマルケの土着的な自然、工芸、食文化に関わる人々にインスピレーションを受けてマルケを紹介しようと製作の傍ら通訳アテンド活動を開始。マルケの郷土食などを紹介する文化アソシエーション”Mac Caroni"運営メンバー

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