旅行中こそ重宝します! イタリアの靴直しの底力と、新世代の靴修理職人マリオ3兄弟

旅行中こそ重宝します! イタリアの靴直しの底力と、新世代の靴修理職人マリオ3兄弟
三男マリオ(右)と長男ジャコモ兄弟©Assunta Simona Photography
マテーラ暮らしで常々感心するのが、修理をお願いできる職人が健在で、物を長く使わせてくれることです。たいていの物は、職人さんが塩梅を見て、融通してくれる。靴もその一つで、カルツォライオ(靴直し)は最も古い職業に数えられるんだとか。靴を買ったら、履き心地を最適化するため、カルツォライオに直行する人もいるほどで、私の行きつけの工房は、いつ行っても行列ができています。
靴修理職人が受難の時代に、最古の職業を次世代へ繫ぐ!

靴修理職人が受難の時代に、最古の職業を次世代へ繫ぐ!

©Calzoleria Cannito
私たちが大衆消費の時代をうかうかと過ごしている間に、イタリアでも、靴は「修理代の方が高くつく物」になっていました。みんなが、靴は捨てて新調すればいいじゃないかと考え、実際にそうした。ライバルが20€の安靴では儲からないんです。せっかく高い技術を身につけても割に合わない。最近もトリノで64年続いた工房の閉店が報じられました(『La stampa』紙 2020/1/25)が、カルツォライオは深刻ななり手不足なんです。 こんな時代に、よくぞあきらめずに続けてくれました! とたたえるべき、若きカルツォライオ3兄弟がおります。経済の低迷、大量に消費するだけの時代をおかしいと感じるムード、モード界の古着やカスタマイズへのトレンドといった社会全体の気分が、いよいよカルツォライオを必要としだしたようです。
修理だけじゃない! マリオ兄弟の新世代の靴修理工房

修理だけじゃない! マリオ兄弟の新世代の靴修理工房

©Calzoleria Cannito
「カンニート靴店は、公正な価格で、成果品の高い品質と足の健康を約束し、ご用命を伺います。」こんな古風な看板を掲げるのは、未だ32歳にして、靴直し一筋20年(!)のマリオさん。わずか12歳で偶然、足を踏み入れた靴直しの工房で、師匠を通して「靴直し熱」に冒されてしまって以来、独学で研鑽を積んできたミレニアル世代。家業を継いだわけでもないため「同級生にからかわれたり、お客さんには足元を見られて、雀の泪ほどの工賃すら渋られたり。」といった悔しい思いも経験してきましたが、そこは大物! 今やこの成果品を見てもらえば、いかに努力家であり、勘も良かったのかが分かります。
© Calzoleria Cannito
今まで多方面で職人さんに、新調、修理、リメイクをお願いした事がありますが、出来上がってきて「……思ったのと、なんか違う」という事もあるものです。だからこそ、自分の思った通り(かそれ以上)に仕上げてくれる職人さんを見つけたら、ゆめゆめ逃してはいけません笑。
断った修理依頼0件。腕の確かさでついには新品を受注制作する「靴職人」へ

断った修理依頼0件。腕の確かさでついには新品を受注制作する「靴職人」へ

ビスポークシューズ第1号© Calzoleria Cannito

マリオさんが塩梅を見て融通してくれるのは、修理にとどまりません。靴は当然としてバック、革ジャン、ベルトetc.ありとあらゆる革製品のモデルチェンジ、染め直し、スタッズやプリントでカスタマイズなど、今っぽいニーズでも大注目なんです。今までどんな依頼も断ったことがないのが自慢。その腕の確かさで、ついにあつらえ靴を受注制作するほど。2019年にはバーリ市に2号店もオープン(次男ミケーレさん担当)。みんなマリオ3兄弟に融通してもらうのを待っているんです。

旅行中、せっかく履き馴れた靴のちょっとしたトラブルで困った事はありませんか? そんな時、まずはご利用のホテルで、腕のいいカルツォライオがいないか、尋ねてみてください。きっと大自慢で贔屓のカルツォライオを紹介してくれるはずです。

自転車のアクセサリー一式© Calzoleria Cannito
Calzoleria Cannito(カンニート靴店)
住所アルタムーラ本店:via Caserta, 14 - 70022 Altamura (BA)
バーリ店:via Salapia, 28 – 70126 Bari(バーリ市内)
営業時間月~金 8:30〜13:00/15:30〜20:00・土8:30〜13:00
※バーリ店の閉店は19:00
電話+39 334 937 9157

白旗 寛子

1974年生まれ。2003年からマテーラ在住。イタリア人の胸を借り、バジリカータ州広域にて、取材および番組コーディネーター、通訳・翻訳、日本語・伊語で執筆ほか。

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