世界遺産の町・ウルビーノで画家ラファエロの生誕地とルネッサンス美術に浸る

世界遺産の町・ウルビーノで画家ラファエロの生誕地とルネッサンス美術に浸る

ウルビーノと言えば、思い浮かぶことは何でしょう? ラファエロ? フェデリコ公? ルネッサンス? 世界遺産? 答えは、その全部。多くの人には知られていませんが、このマルケ州北部にある小さな山間の町は、500年以上も前の時代、独特な宮廷文化の栄えた稀有な場所なのです。アドレア海から内陸へ35km、フェデリコ・ダ・モンテフェルトロ公という文化と芸術を愛した一人の軍人の出現により生まれたウルビーノの文化。多くの著名な文化人や芸術家を魅了したこの町の魅力をお話ししていきましょう。

ウルビーノ全景を眺めて歴史の息吹を吸い込む

ウルビーノ全景を眺めて歴史の息吹を吸い込む

ウルビーノの歴史地区は、小さいながら見所がいっぱい。ルネッサンス文化が栄えたこともあり、美術作品を鑑賞に来る人が多い町ですが、まずは見て感じてほしいのは、なだらかな丘に囲まれた町の全景。レジスタンス広場と呼ばれる、ウルビーノで一番高いところにある公園に出ると、気持ちのいい空気とともに美しい町の風景が見られます。大聖堂や宮殿、住宅や教会の連なりが温かいレンガの色彩によって引き立てられ、歴史の中に登場する人物の一体何人がこの景色を眺めて感動したことでしょう。きっとラファエロも、この風景を何度も胸に刻んだに違いありません。

宮廷画家の工房を懐古する、ラファエロの生家

宮廷画家の工房を懐古する、ラファエロの生家

1483年に生まれた画家・ラファエロ。彼の生家は、ウルビーノの宮廷画家でもあった父親ジョバンニ・サンティの自宅兼工房であり、ラファエロ通りと呼ばれる、ウルビーノでも最も急な坂道にあります。内部は当時を彷彿とさせる彼らの生活空間の中に数々の美術作品が展示されており、回廊スペースには、工房で使うための顔料が摺られていた石の摺り台を、当時のままの様子で見ることができます。

また、この建物内で唯一のフレスコ画である聖母子像は、まだラファエロが青年のころに描いたものであろうと言われています。画家である父親のもとで宮廷文化を肌で感じて育ったラファエロが、ここで暮らしどんなことを思っていたか、想像してみるのも楽しいはず!

ウルビーノの至宝を集めたドゥカーレ宮殿

ウルビーノの至宝を集めたドゥカーレ宮殿

宮殿がそのまま美術館になっている醍醐味をたっぷりと味わえるドゥカーレ宮殿。ゴシック美術からルネッサンスに移り変わるまでの祭壇画の素晴らしいコレクションをはじめ、ラファエロの代表作の一つである『黙る女』、ピエロ・デッラ・フランチェスカの『キリストの鞭打ち』、『セニガリアの聖母』など、モンテフェルトロ領におけるルネッサンス絵画の流れをしっかりと感じ取ることができます。

そして十分に味わってほしいのは、宮殿の造りの面白さ。『フェデリコの書斎』の寄せ木細工の職人技や、ラファエロ原画のタペストリーが飾られた『謁見の間』の広々とした重厚な空間は、当時の栄光を彷彿とさせる魅力であふれています。

サン・ジョバンニ祈祷堂はウルビーノの隠れた宝石

サン・ジョバンニ祈祷堂はウルビーノの隠れた宝石

ここウルビーノの大きな魅力である入り組んだ路地。その一つである通りを行くと、こぢんまりとしたサン・ジョバンニ祈祷堂に出会えます。一歩中に入ると、誰もが歓声を上げるはず。そこには、サリンベーニ兄弟による『キリストの生涯』のフレスコ画が、鮮明な色と圧倒的な存在感を持って視界に迫ってきます。ゴシック後期からルネッサンス初期にかけての変化の時期に描かれたこのフレスコ画から伝わってくるものは、ただ美しいというだけではなく、これからウルビーノに花咲くであろうルネッサンス時代の高揚感や精神の開放を黙示しているようにも思え、大きな感動を覚えずにはいられません。
ラファエロの生家(Casa Natale di Raffaello)
住所 Via Raffaello, 57, 61029 Urbino (PU)
営業時間3/14〜6/14・9/1〜10/31 9:00〜19:00(日・祝日10:00〜13:00、15:00〜18:00)、11/1〜2/28 9:00〜14:00(日・祝日 10:00〜13:00)、3/1〜16・6/15〜8/31 9:00〜13:00、15:00〜19:00(日・祝日 10:00〜13:00)※入場券購入は閉館時間の30分まで
休日12月25日、1月1日
ドゥカーレ宮殿(Pallazo Ducale)
住所 Piazza Duca Federico, 107, 61029 Urbino (PU)
営業時間月曜 8:30〜14:00(入場券購入は12:30まで)、火〜日曜8:30〜19:15(入場券購入は18:00まで)
休日12月25日、1月1日
サン・ジョバンニ祈祷堂(Oratorio di San Giovanni Battista)
住所 Via Federico Barocci, 31, 61029 Urbino (PU)
TEL 39 0722 910259
営業時間 10:00〜13:00、15:00〜18:00(日曜10:00〜13:00)※第1日曜のみ10:00〜13:00、15:00〜18:00
休日12月25日、1月1日

林 由紀子

1999年からイタリア在住、ファエンツア国立陶芸美術学校を経てアーティストBertozzi&Casoniのもとで修行、彼らとの仕事を通してイタリアの食とアートの繋がりを強く認識。移り住んだマルケの土着的な自然、工芸、食文化に関わる人々にインスピレーションを受けてマルケを紹介しようと製作の傍ら通訳アテンド活動を開始。マルケの郷土食などを紹介する文化アソシエーション”Mac Caroni"運営メンバー

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