ヴェネツィアで立ち飲み「バーカロ」をめぐる

ヴェネツィアで立ち飲み「バーカロ」をめぐる

お酒好きや酒場の雰囲気が好きな方なら必ずやトリコになる、ヴェネツィアの「バーカロ」。土地ならではの食文化や、ヴェネツィアならではの “レアルタ(realtà=現実)” に触れることができます。

「バーカロ」とはいったい何?

「バーカロ」とはいったい何?

「バーカロ」とは、ヴェネツィアならではの飲食店の業態を指します。いわゆるオステリア(大衆食堂)の店先にあるバンコ(カウンター)でオンブラ(ヴェネツィア弁で言うグラスワインのこと)を立ち飲みできる場所です。
その名の由来として知られているのは、酒の神である「バッコ(バッカス)」からくるもの。その神の名にあやかり「酒を飲んで楽しもう」という意味が含まれ、現在使われている「バーカロ」という名称となりました。
また、サンマルコ広場の鐘塔の下でワインを売っていた商人が、暑い日差しを避けるために塔の影の動きに合わせて売り場を移動させていたことから、ヴェネツィアではグラスワインのことを“影” という意味のイタリア語である「オンブラ」と呼ぶようになり、その呼び方は現在でも親しまれて使われています。どれも1800年代の頃のヴェネツィアでの逸話です。

「バーカロ」を楽しむ方法

「バーカロ」を楽しむ方法

「バーカロ」はリアルト橋付近からサンマルコ広場周辺にかかる地区に多くあります。魚市場関連の人々は朝が早くリアルト橋周辺に集い、朝からオンブラを手にした男達の姿を日常的に目にします。
「バーカロ」でのお楽しみは、そこに並ぶおつまみ惣菜。ヴェネツィアではこれらを「チケティ」と呼んでいますが、その内容として伝統的なものは、揚げた肉団子「ポルペッテ(porpette)」や小魚の揚げたもの、タコの茹でたもの「フォルペッティ(folpetti)」、干したタラを戻してペースト状にした「バッカラ・マンテカート(baccalà mantecato)」、揚げたイワシとタマネギのマリネである「サルデ・イン・サオル(sarde in saor)」など。最近はチケティの種類も豊富になり、バンコはよりにぎやかに、おいしそうなものがズラリと並びます。
さて、まずは「バーカロ」店内に入り、バンコの前へ。バンコ前の店員に「オンブラ」を頼み、好みの「チケティ」を注文します。オンブラはハウスワインを指しますので、赤が白のどちらかを指定しましょう。店内の表記を見て、特定のワインの品種を注文することもできます。
注文したものを手にしたらその場で、もしくはバンコの空いているスペースを陣取り、いただきます。会計はその際でも帰る際でもどちらでも構いません。基本的には立ち飲みのスタイルですが、店舗によっては椅子が置いてあるところもありますので、空いていれば軽く座ることもできます。

老舗店、人気店にはそれなりの理由がある!

老舗店、人気店にはそれなりの理由がある!

数あるバーカロのなかでも、ヴェネツィアの人々に古くから親しまれている老舗店があります。その代表格は、「カンティーナ・ド・モーリ(Cantina Do Mori )」でしょう。店の歴史は15世紀にさかのぼります。ヴェネツィアの有名な作家であり、そしてプレイボーイとして名高いジャコモ・カサノヴァも好んで通ったとか。チケティには先述の定番のほか、“切手”を意味する「フランコボッロ」とヴェネツィアで俗称される、トラメッツィーノ(サンドイッチのこと)が常に並んでいるのもヴェネツィアらしいところ。
チケティが豊富でおいしい店は若者や観光客にたちまち人気となり、夕暮れどきともなると、店内も店外も多くの人が集まります。どの店舗にもそれぞれの歴史があり、その背景からくる店の雰囲気はどれも非常に魅力的。地元の人々や観光客が集い、それぞれのひとときを楽しめる空間です。それぞれの店が近くにあることや立ち飲みという気軽なスタイルであることなどから、何軒かに立ち寄りお気に入りを探すのも、ヴェネツィアならではの楽しみともいえます。
下記に数店を挙げますが、あくまでもごく一部です。ぜひ、自分のお気に入りを探してみてください。

カンティーナ・ド・モーリ(Cantina Do Mori)
住所 San Polo 429, Venezia (VE)
TEL041 522 5401
営業時間8:00〜20:00
休日日曜
オステリア・アル・ポルテゴ(Osteria Al Portego)
住所 Castello 6014, Venezia (VE)
TEL041 522 9038
営業時間11:30〜15:00、17:30〜22:00
休日なし
トラットリア・カ・ドーロ・アッラ・ヴェドヴァ(Trattoria Ca D’Oro alla Vedova)
住所 Strada Nova 3912, Venezia (VE)
TEL041 528 5324
営業時間月〜水、金〜土曜11:30〜14:30、18:30〜22:30 日曜 18:30〜22:30
休日木曜

白浜 亜紀

ヴェネト州パドヴァ在住。通訳、翻訳、地元マンマの料理レッスン及び生産者訪問コーディネイト、そして野菜を中心とする農産品の輸出業などの活動を行う。 農産物やワイン、各種食材の生産者から料理店、家庭のマンマに至るまで、土地の人々に密着した生きたヴェネトをとことんご案内しますよ。ONAFチーズ鑑定士、AISソムリエ協会。

ヴェネトの関連コラム

関連する旅プラン