映画『山猫』の世界観を体感!パレルモ旧市街の貴族の館を訪問

映画『山猫』の世界観を体感!パレルモ旧市街の貴族の館を訪問

シチリア島の州都、パレルモの旧市街には、二つの顔があります。巨大な市場やカオスな下町に溢れる活気ある庶民文化。そしてもう一つは、ヴィスコンティの映画『山猫』に代表される貴族文化。華やいだ時代の面影をそのまま残す、美しいパラッツォが点在しています。パレルモの魅力は前者のみにあらず! プライベートな貴族の館を訪問してみましょう。

パレルモ旧市街メインストリートに並ぶ貴族の館

パレルモ旧市街メインストリートに並ぶ貴族の館

2800年もの歴史が宿るパレルモの旧市街。世界遺産のノルマン王宮と海をつなぐメインストリート、ヴィットリオ・エマヌエーレ通り(Corso Vittorio Emanuele)を歩くと、路面に並ぶお土産物屋に目を奪われがちですが、ふと目をあげると、通りの両脇に立派な石造りの建造物が並んでいるのに気づかされます。これらの多くはスペイン支配時代、つまり大土地所有時代に貴族たちが建てたもの。
貴族たちはシチリア島内に点在する領地の邸宅とは別に、首都であったパレルモにも館を建てて、拠点にしていました。ヴィットリオ・エマヌエーレ通りを中心に、カルサ地区のアローロ通り(Via Alloro)沿いには、有力貴族たちが競って建てた豪華な貴族の館が、現在もそのまま残されているのです。

7mの天井高、1760年作のフレスコ画が自宅に?!

7mの天井高、1760年作のフレスコ画が自宅に?!

他のイタリアの町と同様に、内部をアパルタメントやホテルに改装したり、美術館にしたりなど、その利用の仕方は多岐に渡りますが、今もなお当時の内観そのままに、貴族が暮らしている館もあります。ヴィットリオ・エマヌエーレ通り沿いに鎮座する「パラッツォ・イスネッロ」も、そんな現役の貴族の館のひとつ。16世紀に基礎が造られ、1750年に後期バロック様式で完成したイスネッロ公爵の宮殿。貴族階と呼ばれるメインフロアには、名匠ヴィート・ダンナとフランチェスコ・ソッツィの美しいフレスコ画があり、イタリアの文化遺産にも指定されています。そして現所有者であるデノーラ公爵家が居住。その自宅空間は、ヴィスコンティの映画『山猫』を彷彿とさせる、デカダンスなパレルモなのです!

ヴィスコンティの『山猫』の世界観をリアルに体験!

ヴィスコンティの『山猫』の世界観をリアルに体験!

長く複雑な地中海の歴史が育んだパレルモの魅力を知るには、市場や下町の庶民文化のみならず、アラブ・ノルマン様式が誕生した12世紀以降、首都パレルモの華やぎを支えた貴族文化もぜひ知っておきたいもの。修復が追いつかず外観が黒ずんでいたり、第二次世界大戦時の爆撃跡も生々しく残されていたりする建物も多く、ただ町を歩くだけだとちょっと怖い印象を受けますが、中に入ればびっくり!
パラッツォ・イスネッロは一般開放こそされていませんが、「パレルモ在住者と歩く!巨大市場と貴族の館でシチリア菓子ツアー」で、特別訪問が可能です。今のパレルモに残された栄華のかけらを拾い集め、フレスコ画の下で優雅にお茶をいただき語らえば、気分はサリーナ公爵?!

ところで、イタリア統一の混乱期のパレルモの貴族社会を見事に描きだした巨匠ヴィスコンティの名画『山猫』(ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサ原作)が、2019年3月17日から『山猫4K復刻版』として、東京都写真美術館ホールほか、全国で順次公開予定です。パレルモを訪れる予定の方、予定はなくてもシチリア好きな方は、必見ですよ!

岩田デノーラ砂和子

慶應義塾大学卒業。(株)リクルート退社後2001年よりイタリア在住。ローマを経て、2010年からシチリア州都パレルモ在。女性誌・旅行誌のイタリア特集企画編集及びTV・WEB等日本メディアのコーディネートほか、イタリア関連書籍多数。イタリアのプロで作るチームLa Vacanza Italiana主催、国際ジャーナリスト協会会員・イタリア商工会議所認定通訳。

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