春のヴェネト最大の味覚。バッサーノ産白アスパラDOP|やっぱりイタリア好き コラム

春のヴェネト最大の味覚。バッサーノ産白アスパラDOP

春のヴェネト最大の味覚。バッサーノ産白アスパラDOP

ヴェネトの春先の代表的な農産物としてその価値を認められる、バッサーノ・デル・グラッパ産の白アスパラ。アスパラとしてはイタリア国内唯一、DOPとしてヨーロッパ基準の生産地呼称を冠する。ドロミーティを背景としたブレンタ川の清流の恩恵を受けたその生産物の堂々たる品格は、ほかから一線を画す。そしてもちろんのこと、その認められるべき価値がこのバッサーノ産にはある。

バッサーノ産DOPとなるための条件とは

バッサーノ産DOPとなるための条件とは

バッサーノ産DOPとして収穫が認められるのは、3月19日のサン・ジュセッペの日から6月13日のサンタントニオの日とされている。とはいえ、ここ近年は気候の変化により、その季節の終わりはどんどん早まり、5月中旬くらいには終盤を迎えるようだ。ちなみにサンタントニオは、パドヴァの守護聖人であるが、もともとカリスマ性のある同聖人が、この地のアスパラを気に入って世に広めたことにより、有名な産物となった、とされている。

2007年に認定されたDOPの基準とは、
・鮮やかで美しい白色であること
・長さは18〜22cm、直径は最低でも11mmであること
・美しくまっすぐとした形であること
・穂先はキュッとしまっていること
・柔らかく筋っぽくないこと
・美しい見た目、アスパラらしい新鮮な香りを保持していること
・ひと束は1.0〜1.5kgの束であること
・束は同様のスタイルにて柳の若枝を使い結ばれること
という条件をクリアする必要がある。

これらの基準を満たしているかどうかは、各生産者が所属している生産組合により検査を受ける。生産物は収穫後、それぞれの農家で束にされた後、機関に持ち込まれる。そこでは担当者により重量や見た目などの検査が行われ、それに合格することで初めて「バッサーノ産白アスパラDOP」のタグがつけられることとなる。

白アスパラの特殊な収穫方法とは。一本一本に愛情をかけた逸品

白アスパラの特殊な収穫方法とは。一本一本に愛情をかけた逸品

アスパラ収穫の朝は早い。なぜなら、太陽の光を浴びてしまうと、光合成により色がついてしまうから。冬の終わりにアスパラの畑はつくられる。アスパラの根が生えている列には成長するアスパラが日に当たらないよう土が盛られ、そこにさらに黒いビニールシートを被せてうねをつくる。季節になるとアスパラは地中で温度を感じ、暖かい時期ともなると、1日に15㎝も伸びるという。
収穫時にはビニールシートをうねごとにはずし、土の表面に成長して頭を出し始めた穂先のあるところをめがけ、専用の道具を使って一本ずつ掘り起こす。そして一列が終わると再度シートをかぶせ、次のうねへ……。この作業が、毎朝繰り返される。
収穫後は作業場に運ばれて洗浄、太さや形状などをチェックし、選別される。その後、専用の1kg用の筒にきれいに並べて束をつくる。もちろん全てがまっすぐではなく、微妙に曲がっていたりするので、それらをうまく組み合わせてみっちりとした束をつくるのは、職人技。そしてその束は、柳の若い芽で縛られる。柳はイタリア語で「サーリチェ」と呼ばれるが、ここではヴェネト独特の呼び名「ストロッパ」と呼ぶのも味わい深い。その後、長さを揃えて下部の茎を切り落とし、ひと束が完成する。

本場での正統派な一皿とはいたってシンプル。その名も「バッサーノ風」

本場での正統派な一皿とはいたってシンプル。その名も「バッサーノ風」

バッサーノでアスパラを食べるなら、一度は体験したい「バッサーノ風」な食べ方。伝統的なレストランに行き、アスパラを注文すると先にテーブルに運ばれてくるのは、殻付きのゆで卵。これをアスパラがゆで上がるまでに各自で殻をむいてフォークの背で細かくつぶす。そこに塩、胡椒、オリーヴオイル、そして好みでアチェート(好みのお酢)を加えて調味する。そうこうしているうちに、給仕人がゆで上がったアスパラを抱えて参上。それを皿にゴソッと盛り付けてくれる。そこに自分でつくったソースを添えていただく。
野菜とはいえ、もちろん肉や魚のセコンド・ピアットと同様に扱われる。もしくはバッサーノのマンマ宅にての白アスパラずくしのお料理体験も可能。新鮮なアスパラを入手したら、生のままスライスしてアンティパスト(前菜)に、リゾットやパスティッチョ(ヴェネトでは、ラザーニャのことをパスティッチョと呼ぶ)、そしてメインには卵と合わせた「バッサーノ風」にて。優しいマンマの手による最高においしいヴェネトの旬を体験することもできる。

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白浜 亜紀

ヴェネト州パドヴァ在住。通訳、翻訳、地元マンマの料理レッスン及び生産者訪問コーディネイト、そして野菜を中心とする農産品の輸出業などの活動を行う。 農産物やワイン、各種食材の生産者から料理店、家庭のマンマに至るまで、土地の人々に密着した生きたヴェネトをとことんご案内しますよ。ONAFチーズ鑑定士、AISソムリエ協会。

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