作曲家ヴェルディーゆかりのイタリア版居酒屋へ行ってみる|やっぱりイタリア好き コラム

作曲家ヴェルディーゆかりのイタリア版居酒屋へ行ってみる

作曲家ヴェルディーゆかりのイタリア版居酒屋へ行ってみる

パルマからバスで約1時間。夏だと緑いっぱい、冬だと霧で真っ白になる平野を走り続けると、ブッセートと言う町に到着する。ブッセートは、『トラヴィアータ』『ナブッコ』『リゴレット』『アイーダ』など、多くのオペラを残した作曲家ヴェルディーの生まれた町だ。町にはヴェルディーの博物館もあり、オペラ好きの聖地とも言える。ヴェルディーは美食家であったことでも有名で、この地方で作られるサラミやクラテッロを世界中の音楽家に送り、そのおいしさを知らせたという。そんな彼が通っていた居酒屋がある。

居酒屋博物館

居酒屋博物館

「サルサメンテリア・バラッタ(Salsamenteria Baratta)」は、1873年にリーノ・バラッタ(Lino Baratta)さんが開業した居酒屋で、ブッセートのメイン通りであるローマ通り(Via Roma)のポルティコ(アーケード)内にある。町のヴェルディー劇場からも300mと近距離。店内にはヴェルディーが使っていたピアノ、ヴェルディー直筆のトラヴィアータの楽譜、メダル、肖像画などが所狭しと展示されている。昔、建物の中庭には馬、ロバ、豚のと畜場があり、その血を温めて、この居酒屋で出していたらしい。この地の人たちは「豚は爪以外捨てるところはない」と、血液も料理に使っていた話は聞いていたが、馬やロバの血液を飲んでいたというのは初耳だった。貧しい農民は、力仕事をするのにエネルギーが必要で、活力のもととして飲んでいたのであろう。この居酒屋ではチッチョリという豚肉のハギレを大鍋で揚げ、油を絞り取った後の肉(以下の写真左下のお茶碗に入っているもの。ポテトチップスのようにカリッとしていて、ついつい手が伸びてしまう危険なおつまみ)をつまみに、フォイエータと呼ばれる白いお茶碗でランブルスコ、フォルターナ、マルバシアといったこの土地で作られるワインを飲んでいた。

メニューはいたってシンプル

メニューはいたってシンプル

現在でもメニューはサルーミ・ミスト(ハム、サラミの盛り合わせ)と数種類のソース、パン、くるみ、数種類のケーキという、いたってシンプルなもの。「サルサメンテリア」という名前からも想像できるが、「サルサ」ソースが売りのお店でもある。地元で昔から食べられているトマトやニンジンのレッドソース、イタリアンパセリやほうれん草を使ったクリーンソース。これをパンにつけていただく。そしてサルーミの盛り合わせ。写真は2人前のサルーミ・ミスト。クラテッロ、プロシュット・ディ・パルマ、ストロルギーノ、ラルド、モルタデッラ、サラミ、スパッラ・コッタの盛り合わせ。ストロルギーノは、クラテッロを作ったときに残った細切れ肉で作る細いサラミで、2週間くらいの熟成でいただく。スパッラ・コッタは、ブッセート近くのサン・セコンドという町で作られている、豚の肩肉を使った加熱ハム。どちらもこのあたりでしかお目にかかることのできないハムなので、ぜひ試食しておきたい。

くるみ割りとほろ酔い気分

くるみ割りとほろ酔い気分

食後はくるみであっさりと。くるみを真ん中のくるみ型のくぼんだ台に置き、木槌で叩いて割る。力を入れすぎると潰れそうだし、軽すぎると割れない。ちょっとしたコツをつかめば、ころっと中の実が取れる。くるみの殻が隣席に飛んだことをきっかけに会話が始まるなどと、楽しい居酒屋の雰囲気が味わえる。

サルサメンテリア・バラッタ(Salsamenteria Baratta)
住所 Via Roma,76 Busseto(PR)
TEL0524 91066
営業時間火〜木曜11:00~22:00、金〜日曜11:00~24:00
休日月曜

西村 明美

初めて食べたプロシュット・ディ・パルマとパルミジャーノ・レッジャーノチーズに魅される。2003年には好きだったワインを勉強し、AISイタリアソムリエ協会のソムリエの資格を取る。その後、サルメリア研修をし、パルマの食を勉強。各種コーディネート、通訳、翻訳など活動中。

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