「イタリアの美しい村」チヴィタ。独自の文化を持つ少数民族・アルブレーシュの村|やっぱりイタリア好き コラム

「イタリアの美しい村」チヴィタ。独自の文化を持つ少数民族・アルブレーシュの村

「イタリアの美しい村」チヴィタ。独自の文化を持つ少数民族・アルブレーシュの村

約600年前、オスマントルコの侵攻の際にギリシャ~バルカン半島界隈からイタリア半島に逃げてきた人たちがいました。その後イタリア国内各地(主に南伊)に定住し、当時の文化、風習、言語を今に伝えている彼らと彼らの使う言葉は「アルブレーシュ(arbëreshë)」と呼ばれています。カラブリア州内にはアルブレーシュの村が多く、なかでもコセンツァ県内には約30の集落が存在。イタリア語とアルブレーシュ、2言語が共通言語なアルブレーシュの村・チヴィタ(Civita)をご紹介します。

独自の文化と言語を持つ人々

独自の文化と言語を持つ人々

カラブリア州コセンツァ県。コセンツァ市から車で北上すること約1時間。ポッリーノ国立公園のふもとにチヴィタ(Civita)村はあります。村に近づくごとに道路標識は2か国語表記に。イタリア語と、もう一つは彼らの言葉「アルブレーシュ」です。現在ではほぼ全員がイタリア語で読み書きしますが、ほんの数世代前まではほぼ100%アルブレーシュを使って生活していた、イタリアの中の外国。イタリア到達以来、約600年にわたって独自の文化を守ってきたアルブレーシュは、カトリックの一派ながらも東方正教会系(東方典礼系・アルバニアビザンチン典礼カトリックとも)を信仰。正教会系の教会の中は、イタリアで見慣れたカトリック系とはひとあじ違う内装で、とくにモザイクの装飾は見ごたえがあります。彼らの独自の文化・風習は、村の中の郷土民族資料館「チヴィタ郷土民族資料館(Museo Etnico arbëreshë)」で詳しく知ることができます。

ポッリーノ国立公園のふもと。豊かで厳しい自然と素朴な見どころ

ポッリーノ国立公園のふもと。豊かで厳しい自然と素朴な見どころ

2,000m級の山が連なるポッリーノ山系のふもとに位置するチヴィタ。「イタリアの美しい村」にも選出された村の美しさとこの大自然を感じるには、村の見晴台に行くのが一番。Belvedere(ベルベデーレ=見晴台)の案内に沿って行けば、ラガネッロ川が削った渓谷の厳かで立派な姿と、旧市街地の中でもとくに古い地域を一望することができます。数々の伝説が残る岸壁、かけてもかけても落ちてしまうことから「悪魔橋」と名付けられた渓谷にかかる橋。渓谷を渡る強風にさらされた場所に作られた、石積みの小さな畑。村の中を散策するだけでも、豊かで厳しい自然と共に生きる人々の生活の様子を感じることができます。少し時間があったら、トレッキングがオススメ。ポッリーノ国立公園にしか生息していない、そしてヨーロッパで最古の杉と言われるピーノイタルス(Pino Italus、Pino Loricatoとも。樹齢約1230年)まで、約8時間の行程です。そのほか、初心者用のコースもたくさん。初夏から晩秋までがシーズンです。

幻の味、ポッリーノ山系ならではのうまいものをもとめて

幻の味、ポッリーノ山系ならではのうまいものをもとめて

自然が大切に守られているポッリーノ国立公園は、イタリア最大の国立公園。この中で放牧され、エサを探して一日に多いときで40㎞も歩くという、ヤギやヒツジのお乳から作られる、このあたりのチーズは絶品。ヤギやヒツジが食べている、野草の香りもふんわりとするような濃厚なチーズは、その日に採れたお乳で作られるので量産できず、この辺りを訪問しないと食べられない完全に地産地消されている幻の味。チヴィタにはこれらの「地域限定幻の味」を楽しめるレストランも多数あって、アルブレーシュに伝わる伝統手打ちパスタや伝統料理と一緒に提供されています。あまりの美味っぷりに、カラブリア州内外からもグルメが押し寄せるさまとなっているので、週末やバカンスシーズンは予約が必要なほど。村歩きの後などに、地元では「ポッリーノが育んだ味」として大切に伝承されている数々のお料理を楽しむことができます。

チヴィタ郷土民族資料館(Museo Etnico arbëreshë)
住所 Piazza Municipio, Civita(CS)
営業時間9:30~12:30、16:00~19:30
休日不定休
ポッリーノ国立公園(Parco nazionale del Pollino)
HP http://www.parcopollino.it/

澤井 英里

カラブリア州コセンツァ(Cosenza)市在住。司法事務所勤務の傍ら、こよなく愛する州の紹介や現地在住コーディネーターとして各種ご案内に対応。スキーが大好きな食いしん坊ソムリエ。 素朴ながらも豊かな郷土料理とそれを支える自然環境・人・四季に寄り添ったカラブリア州での生活に美しさを感じます。

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